2024-05-07

私らと彼ら、私とあなた

クルーズ船が島を横切る。
いつも同じピンク・フロイドの「Us and Them」の
ゆったりとした旋律が耳をくすぐる。
今日のような陽のあるうちはまだしも日没後の真っ暗な海に
煌々とした灯りのコントラストは印象的である。
質量の認識ができず、ただただ美しくて儚く見える。
私自身も。

着飾ったマダム達の笑顔が溢れる船から
小汚い格好であちこちの畑をあっちこっちと
忙しなく走るこの軽トラは見えているのだろうか?
目の前なのに..

もともとの能動的な音楽遍歴の始まりは
ロンドンパンクからだったが高校一年生の入学してから
いきなりアメリカに短期留学となり、そこで知り合った兄貴から
「The Dark Side Of The Moon」を勧められたのが
当時の僕には異ジャンルだったこのバンドとの初めての接触だった。
それから若気の至りで尖ったものを追いかけていったため
最初で最後、全く疎遠だったが浮遊感のある音が好きな性分も
多分に加味され、ふとした時に求めてしまう。

歌詞にはもちろん1973年当時の世相と政治的メッセージが
色濃く反映されているのだが
分断と混乱の渦にこの世界が再び直面した今だからこそ
なおさらかもしれない。

果樹と向き合いながら止せばいいのにこんなことも感じている。

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