三向聴
ヨアヒム・レーヴ現ドイツ代表監督はかつて
サッカーワールドカップブラジル大会優勝を
目前にした時のある種の喪失感について
オフに登頂したキリマンジャロの話を
引き合いに出して大会後に語っていた。
「あと数歩で全てが終わってしまうのかと思うと..」
前方の視界は遮られ、後退すら厳しい、
管理農地といえば聞こえは緩やかだが
いわゆる耕作されなくなって日が経つ畑を
今年度は4反5畝ほど再開拓して開いた。
数々の雑木、立ち枯れの柑橘樹、ツルまみれ、トゲだらけ。
身一つの人力で立ち向かうお供は
チェーンソーと刈り払い機、電動剪定バサミの三種。
背丈を越す野茨やツルやカズラに全面を覆われ、
個人的なボーナスステージ(一息つける柔らかい草地)もなく
以前なら諦めていたであろう、とある1.4反畑に手をつけ、
述べ4日ほどで片付けられた折にはかなりの飛躍を感じた。
これはOregon社のシュレッダーブレードの導入が大きい。
刈り払い機の刃だが刃というより単純な構造の鉄の破壊王で
効率が飛躍的に上がりモチベーションの維持が容易になった。
途方にくれ、悔し涙が頬をつたう回数がいつしか減っていった。
それでも今の到達点は
2014年のドイツ代表で言えば対ブラジルの「ミネイロンの悲劇」
まだ準決勝なのだろうか?
いや、苦しめられたBest16ラウンドの
アルジェリア戦より以前かもしれない。
まだまだ苦しみがあるような気がする。
「あと数歩で全てが終わってしまうのかと思うと..」
という不思議な喪失感を早く感じてみたいが
どうやら来年以降になりそうである。
人が訝しがるような作業をなぜ
好き好んで味わおうとするのか、
その理由はいくつかあるが胸のうちにしまっておく。
一つだけはっきり言えるとすれば近い将来
誰にも気兼ねすることなく心の底から楽しめる果樹園を
ミツバチや鳥たちや微生物や植物たちと一緒に
営んでいくためである。
と、結んでみたがぶっちゃげたまらんわw
度の過ぎたマゾっ気はないはずだが..