「開拓史最終章」

たどり着いた稜線の茂みの中に獣害対策の鉄柵が伸びている。

いわゆる共同柵と言うもので地区の果樹園地や住宅地を大きく

囲っているわけだが私たちの耕作する主な園地はこの外側にある。

アウターリム＝銀河系の外縁部である。

ハン＝ソロ、チューバッカ、ボバ＝フェット、ランド＝カルリジアン、

ホンドー=オナカー..自由を愛する悪党やごろつきの安息の地である。

少なくとも園主の気質的にこれ以上ない環境なのである。

このイノシシの産婦人科と呼ばれていた、耕作されなくなって久しい一帯の

稜線近くの最後の1.7反ほどに苗木を植え付け

一連の開拓作業も終わりとなった。

重機の導入が可能な車道に面した別の箇所の2枚は同時進行でも

当然あっさりと終わったが人力での作業に頼るしかないこの辺りは

合間合間の作業で足かけ５年ほどかかった。

終わってみると心にポッカリと穴が開き、寂しささえ発露する。

ともかく、あとは苗木の成長と良い雑草で土を整え、

銀河系外縁部より百花繚乱の果実をお届けできればと。